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ベトナムの鉄鋼業がヨーロッパ市場で強みを試す【ベトナム:鉄鋼業・輸出】

ベトナムの鉄鋼産業は、複数の特殊関税等調査やダンピング防止
関税賦課により、輸出市場が狭くなるというリスクに直面しています。
そのため、ヨーロッパ市場に向けた輸出に方向転換し、
多くの鉄鋼製造業者が製品の質を向上させる努力をしています。

ベトナム鉄鋼協会(VSA)の最新レポートによると、
2020年はじめから現在までの鉄鋼生産量は1,160万トン超に
達し、前年同時期と比較すると-8.1%以上の減少です。
新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックにより、
鉄鋼販売企業も困難に直面しています。

鉄鋼販売量は1,040トンで昨年の同時期より10.7%減少し、
鉄鋼輸出量は180万トンを超えたものの、昨年の同時期より
24.6%減少しました。

6月だけでベトナムは30万トン以上もの鉄鋼を海外市場に
輸出し、その売上高は2億5000万ドル近くなり先月比較で
14.5%上昇しましたが、昨年同時期に比較すると21.9%
減少しました。
鉄鋼業界の企業にとってはかなり悲観的と言える数値です。

VSAによると、輸出市場の構造において東南アジア市場への
鉄鋼輸出量は全体輸出量の54.75%を占め、輸出総売上の
57.8%に相当します。
対してヨーロッパ市場への鉄鋼輸出量は全体輸出量のわずか
4.15%です。

欧州市場への鉄鋼輸出量はとても少ないように思われますが、
EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)が受諾されており、
ベトナム鉄鋼業を含む全ての輸出産業に関税が掛からないため
両国に利益がもたらされます。

Toan Thang Steel Trading Company LimitedのCEOである
Doan Danh Tuan氏は、「EU市場に一度も製品を輸出したことは
ないが、EVFTAによる利点を考慮して当社はこれからEU市場に
参入する戦略を立てる。」
と述べています。

専門家によると、EUとベトナムの市場は補完しあっており、
直接的に競合することがないという点においてもベトナム
鉄鋼製品の利点があると言われています。
EVFTAによりもたらされる利益とともに、ベトナム鉄鋼業から
ヨーロッパ市場への輸出機会は大きいと見られています。

ホアセン鉄鋼グループ(HSG:Hoa Sen Group)の代表によると、
5月末と6月前半に同社はヨーロッパへ亜鉛メッキ鋼板
3万5千トンの輸出を完了しました。
(同社2019年度売上28兆350億ドン、純利益3,610億ドン)

これはホアセングループとベトナムにとってこれまで
ヨーロッパ市場へ輸出したなかで最大量の鋼板出荷量であり、
EVFTAの有利な条件を積極的に活用することで、ベトナム企業の
亜鉛メッキ鋼板輸出における画期的な出来事となりました。

しかし、欧州市場に製品を持ち込むにあたり、
ホアセングループは製品の質を向上させるために
調査活動や技術改良についての長期的な投資戦略を
立ててきました。
その他にもヨーロッパの顧客へ素早く届けるため、
生産や供給の迅速化を促進しています。

ホアセン鉄鋼グループと同様に、ナムキム鉄鋼のような
ベトナム大手鉄鋼会社は、ISO9001:2015規格の基準を
満たすために製品とサービスの質を向上させています。
(ナムキム鉄鋼社2019年度売上12兆1770億、純利益470億ドン)
これはベトナムの鉄鋼製品を持続可能な形でヨーロッパに
輸出するための基本的な基準です。

しかしその機会には大きな課題もあります。
数年にわたり鉄鋼産業はアメリカ合衆国やASEAN諸国から
多くの貿易救済訴訟に苦しんでいます。

2019年12月、合衆国商務省は韓国や台湾で作られた
原材料を用いたベトナムの特定鉄鋼製品に456%の
輸入関税を課しました。
最近では、オーストラリアのアンチダンピング委員会
(ADC)がベトナムで出来たガルバリウム鋼板に
アンチダンピング及び反補助金調査を開始すると
宣言しました。

これらの訴訟は鉄鋼業界に多くの損失をもたらし、
上記市場におけるベトナム鋼輸出シェア低下の証拠と
なっています。

ホアセン鉄鋼グループのCEOであるVu Van Than氏は以下の
通り述べています。
「セーフガードが今後も増え続ける傾向にある中で、
企業は生産材料原産地の透明性に関する規制を完全に
遵守する必要がある。さらに、企業は標準を満たすために
テクノロジーを改善する必要がある」

ベトナム鉄鋼協会(VSA)副会長のTrinh Khoi Nguyen氏によると、
原産地の透明性を保証するためにVSAは会員企業に勧告を
行っています。
VSAは通商産業省の相談員協力し、輸出市場全般、特に
ヨーロッパ市場のニーズについて積極的に調査しています。

また、国内企業は原材料生産への投資を増やし、
純粋なベトナム産製品の優遇税率を最大限に活用しています。

輸入した原材料には、EUとのFTAに署名しているか
EVFTAの加盟国である国からのサプライヤーを探しています。
この原材料は中国から輸入したものより費用が掛かりますが、
鉄鋼企業にとっては安定しています。

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