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ASEAN製造業におけるテクノロジー戦略の実例と今後

 

2030 世界の未来図とは?

2019年5月改元という節目を迎え、翌年に東京五輪というビッグイベント、2025年には大阪万博を控えている日本。数年先の日本をイメージすることはできる一方で、2030年の世界情勢を具体的に想像できる人はどのくらいいるでしょうか。

アメリカ大統領の戦略策定・構想を支援する目的で設けられている米国国家情報会議の調べによると、2030年の国際情勢においては主たる覇権国家がなくなりこれまで先進国とされてきた国々が新勢力国家に抜かされていく未来を予測しています。

世界のあらゆる地域で覇権国の交代が起きていき、アフリカではエジプト・エチオピア・ナイジェリアが統治と経済の安定次第では南アフリカに並び、追い越すほどの力をつける可能性があるとされています。また、東南アジアではベトナムがタイ経済に追いつくとされています。

ゴールドマン・サックスは今後国家の成長が期待される11ヵ国をネクスト・イレブンと呼んでいます。そしてその約半数をASEAN諸国が占めており、インドネシア、フィリピン、ベトナム、韓国の4ヵ国がネクスト・イレブンに含まれています。

米国国家情報会議の試算によれば2030年までにネクスト・イレブンの国力の合計は、EU諸国27ヵ国の合計を超えるとされています。

製造業という観点で見ると、かつて日本の貿易競争力の全盛期だった1980年代以降、「雁行型発展モデル」と呼ばれたように労働賃金の安いASEAN諸国が製造下請けとして支える側だった時代があったわけですが、2030年にはその過去の構図からは想像できないASEAN台頭時代の訪れがくるとされているのです。

こうした時代の到来を測させる理由のひとつに、ASEAN製造業におけるテクノロジーの著しい発展が挙げられます。その現状と今後の予測についてみていきましょう。

 

ASEAN “テクノロジー先駆者にみる製造業のこれから

インド、中国の大国に挟まれるASEAN諸国の産業、とりわけ製造業においては課題が多いとされています。本来中国・インドと伍して市場形成するために結ばれたASEAN経済共同体(AEC)も、ASEAN自国市場の保護を目的として非関税障壁によって未だ市場の分断が続いています。

また他にも中間層の増加の一方で不足する資源、若い労働力の国外流出、市場拡大の伸び悩み等の問題が多いことも現実です。

そのためこのような背景を受け、ASEAN各国においては従来型製造業にとらわれることなく新テクノロジーに対応する革新的な経営・組織戦略を図ることが飛躍のカギとなります。

そんな中、ASEAN製造業においてテクノロジー導入の先陣を切る国はどこかご存知でしょうか。

Appierが2018年に発表した調査によるとアジア太平洋地域においてAI導入が最も進んでいるのはインドネシア(65%)であり、その比率は中国(63%)、インド(62%)を凌ぎトップとなっています。それに韓国(57%)、シンガポール(50%)、そして日本(47%)が続く結果となっています。

2019年4月には、AI導入をリードするインドネシアでMaking Indonesia 4.0の具体化に向けたIoT(モノのインターネット)指標の導入の発表がされました。この指標導入によって製造業におけるIoT導入をより促進する狙いがあるとみられています。

このように製造業におけるテクノロジー導入の先駆けであるインドネシアではすでに取り組みが始まっていますが、今後ASEAN他国でもこのような動きが予想されます。

生産現場のIoT予知保全はもちろんIoB(Internet of Bodies)と呼ばれる作業員の安全管理や教育への活用、また製品自体のIoT/コネクテッド化にむけた研究開発まで、これから取り入れとその発展が見込まれている最新テクノロジーは多岐にわたります。(IoTセンサ関連機器の具体例はこちら

覇権国家の揺らぎの一方で、急加速するテクノロジーの製造業への取り込みを明確に打ち出しはじめているASEAN諸国。その動きには今後も大いに注目をしていくべきと言えます。

 

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