海外企業がフィリピン投資を敬遠する
その1 外国人投資家が、対フィリピン投資を控える理由、はまず「治安」。
イスラム過激派組織によるマニラ市街地でのテロ事件や、
国軍クーデター未遂事件の頻発が指摘されている。
ただし、2006年に国軍クーデターが発生したタイでは、その後も対タイ国内への投資は続いている。
その2 このほかの要因がフィリピンにはむしろあり、
1)進出企業への法制度の不透明性、
2)汚職を含めた政府部門の政治統治能力の低さ、
3)鉄道・道路などのインフラの未整備 などの経済環境が挙げられる。
実際の2008年データでは、
日本からの対フィリピン投資を161億ペソ (331億円)
日本からの対タイ投資1061億バーツ (3000億円)を比較すると一目瞭然である。
このように、海外から直接投資、証券投資が流入しにくい
経済未整備の構造が、フィリピンの労働者を海外へ向かわせている一面もある。
フィリピンでは、海外からの「外国送金」が対内直接投資や証券投資を上回り、
06~07年にかけ、国民総生産(GNP)の7%にまで達している。
今後のいずれの政権でも法制度やインフラ整備の問題が短期間で解決する可能性は低い見通しとなっている。
そのため中国やインドのような、外資誘致型の経済成長を達成する可能性もまた低く、
今後も海外就労者の増加は続くと見られている。
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