タイの医療レポート
2003年度のタイの人口は6320万人で全体の6.8%を65歳以上が占め、高齢化率は
アジア国内で7位となります。
2003年のGDPは約13兆8200億円、政府予算は約2兆7000億円。
そのうちの6.9%である1868億円が医療費として支出されました。
また、2002年10月から2003年9月までの12か月間の医薬品市場は1208億円で
対前年比は+13.1%の成長率でした。
2002年、タクシン政権下による低コストの医療政策が全国的に展開されました。
この政策は、資格のある患者はわずか30バーツ(81円)の自己負担で、
診察・診断・治療を受けることができます。
これにより保険に加入していない多数のタイ国民が基本的医療を受けることを
初めて可能にしました。
30バーツ政策による基本的な影響は、GPO(政府医薬品機関)が少なくとも23の
医薬品の価格を下げたことから。
抗炎症薬、糖尿病治療薬、抗HIV薬は、通常価格から最大63%値下げされました。
タイの医薬品卸はZuelligとthe Diethelm/Olic groupで、この2つの卸を
合わせると、卸市場の80%をゆうに超えます。
この二大卸グループによる支配は今後数年間揺るぎそうにありません。
メーカーや小売と同様、卸においても近年利益率は縮小しており、利益レベルは
さらに大きく圧迫されると言われています。
タイ国内には内資・外資合わせて571社の製薬メーカーが存在します。
1位はファイザー、2位グラクソスミスクライン、3位Siam Bhaesajの順です。
Siam Bhaesajは外資製薬メーカーと競合しています。
30バーツ政策によって、国内生産のジェネリック品の売上が促進されて
海外ブランドのシェアを奪ってきましたが、こうした現象やその他の知覚される
貿易障壁にもかかわらず、売上額の面では依然として輸入品が市場を支配し
続けています。
タイには1310の病院(国公立954軒、私立356軒)が存在します。
医師数は2万8731人(2003年)と記録されています。
しかし実際に病気になっても経済的状況から病院に行けなかったり、薬局で
直接薬を購入するほうが便利という理由から薬局が街中に多く見られ、その数は
1万1931軒になります。
処方箋なしでも薬局で簡単に手に入ります。
薬局は、スーパーマーケットやその他の小売フランチャイズ店の中にも多く
見られるようになってきています。
MedicグループはスーパーマーケットTesco-Lotus内で営業し、フランスの大手
小売店Carrefourも薬局チェーンと取引を成立させています。
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