タイのホテル経営企業市場シェア、収益構造の変化【タイ:観光業】
2020年以前は、タイの主要地域でのプロモーションや格安航空会社(LCC)の登場などにより、
インバウンドとアウトバウンドの観光客は増加傾向にありました。
また、海外の新たな目的地で世界的な需要とアウトバウンド観光にサービスを提供し、
立地多様化を図るためマイナー・インターナショナルMinor International(MINT)、
セントラル・プラザ・ホテルCentral Plaza Hotel(CENTEL)、
ドゥシタニDusit Thani Plc(DTC)など、タイを拠点とする大規模事業者は、
地域や世界の市場でホテルチェーンを拡大していました。
2017年から2019年にかけて、タイのホテル経営企業は、
ホテルおよびホテル関連サービスからの収益が増加していました。
タイ証券取引所に上場しているホテル事業者13社の収益は、
2019年には合計1,360億バーツとなり、
2018年の820億バーツから+65%も急増しました。
2020年の収益合計は、-63%縮小し500億バーツでした。
上場ホテル経営企業13社のうち、
2020年のホテル売上高の市場シェアはMinor International(MINT)が65.4%と大差をつけてトップで、
Asset World(AWC)5.8%、Central Plaza Hotel(CENTEL)5.7%、Dusit Thani Plc(DTC)5.2%、
Erawan Group(ERW)が4.6%となっています。
マイナー・インターナショナルMinor International(MINT)の市場シェアは、
2018年末にNH Hotel Group SAを買収した結果、2017年の38.8%から急上昇し、
世界のホテルランキングトップ20に入りました。
ホテルビジネスには循環性がつきものであり、経済状況の変化、
需要の程度、自然災害や疾病の発生、
政治的暴動などの安全・安心に関わる予測不可能な状況に影響されます。
SET上場ホテル会社13社の2018-19年の2年間の平均収益構造は、
ホテル・関連収益66%、飲食20%、販売・生産8%、その他の収益6%でした。
コスト面では、固定資産への投資、良質な資産と標準化されたサービスの維持、
販売費・一般管理費への投資などにより、高コストのビジネスとなっています。
同2年間の平均売上原価(COGS)は総売上高の50%、平均販管費は36%、
金融費用は5%となっています。
高コスト構造を持つホテル事業では、2018-19年の2年間の平均純利益率は7%でした。
これは他の不動産ビジネスと比較すると、相対的に低く変動しやすいとされています。
2019年に上場している3つのホテル事業者(MINT、CENTEL、Grande Asset Hotels(GRAND))では、
それぞれ25%、60%、17%という大規模な非ホテル収入を記録しました。
また、DTCの非ホテル収入は2018年の4%から2019年には6%に増加し、
複合施設であるDusit Central Parkプロジェクトの完成に伴い、
今後3年間でさらに増加すると予想されています。
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