タイの洪水予測システムFlood Risk Information System、日本との協力 【タイ:インフラ】
タイで起きた2011年大洪水の際には、次のようなウェブサイト
から洪水の状況を知ることができました。
• レーダ雨量
(タイ気象局(TMD)、Hydro and Agro Informatics Institute
(HAII)、米国海軍総合科学研究所など)
• 浸水状況の衛星画像
(Geo-Informatics and Space Technology Development
Agency(GISTDA))
• 河川水位・流量(RID、HAII、バンコク首都圏庁(BMA))
• バンコク市内の道路上の浸水(BMA)
• チャオプラヤ川河口潮位予測(タイ地方政府、タイ国海軍、
HAII)
• 3日予測降雨図(TMD、HAII)
2012年以降の対策とシステム開発としては、“Flood Risk
Information System”と呼ばれる洪水予測システムが
導入されました。
システムのプロトタイプは2012年9月はじめに運用を
開始しました。
言語は英語で、情報表示システムは
(1)データ入力 (2)模式図の表示生成 (3)浸水区域表示の作成、
で構成されています。
Flood Risk Information Systemは、日本にあるサーバーを
使って開発されました。
プロトタイプは開発に使ったサーバー上で運用、改良が行われ、
情報は日本からインターネットを通じて提供されました。
完成版の運用を行うサーバーは2012年11月にタイ王室灌漑局
(RID:Royal Irri- gation Department)へ導入されました。
2013年の洪水期には、情報がRIDよりインターネット経由で
公開されました。
その後、日本・タイの専門家が協力を続け、チャオプラヤ川の
Flood Risk Information Systemが持つべき機能が特定され、
プロトタイプから2013年1月までに一般公開版に
アップグレードされました。
・ 地盤高データとして LiDAR データを利用
・ モデルのキャリブレーションに2011年洪水に加え、2006年、
2010年データを利用
・ RID王室灌漑局にシステム機能を設置
・ 模式図の表示範囲を全流域に拡大
・ 7日前からの浸水区域を表示
・浸水リスクを水深で分類し、可能性の変更機能を追加
・GISTDA 画像による浸水域補正の自動化
・タイ語と英語による表示
・ヘルプとメッセージ表示機能の追加
などがアップグレードされました。
2015年6月に国際協力機構(JICA)は、タイの洪水対策のため
約55億円の無償資金援助で実施したタイ国道9号線のかさ上げ
工事の終了・開通式典を行っています。
タイ中部アユタヤからバンコクまでの約30㎞におよび、
安藤ハザマなどの合弁会社が施工しました。
当時式典に出席したプラジン運輸相は
「工業分野で日本との協力関係はより深くなっている」と
コメントしました。
工事はアユタヤに向かう下り4路線について最大40㎝
かさ上げし、2011年と同規模の洪水が起きても冠水せず
物流に被害がでないよう施工されました。
2013年6月に着工し、契約通り23カ月間の工期で
終了しました。
2011年後半に起きた「50年に一度」と言われる
大洪水では、アユタヤ~バンコクの工業団地が浸水、
約450社の日系企業が被災しました。
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