タイの河川を管理する行政機関に関して【タイ:インフラ】
タイ王国は長い歴史の中で、バンコク都・アユタヤなど
河川利用を中心とした水情報管理システムを作り上げ、
管理運用することにより国の発展に成功を収めてきました。
一方、大規模な洪水管理に関する情報システムは十分ではなく、
2011年10月~11月に起きた大洪水では、もし当時、
的確な情報が政府機関・自治体・市民・農民の間で
共有されていた場合、より良い対策がとられ被害が減少した
可能性が指摘されています。
チャオプラヤ川の河川管理は、バンコクでの内水対策を除くと
河川とその水利用に基づいた組織とシステムによって
行われてきました。
RID:タイ王室灌漑局(Royal Irri- gation Department)は
農業用水を確保。
EGATタイ発電公社(Electricity Generating Authority of
Thailand)は水力発電の水を管理。
DWR:タイ政府水資源局は天然資源として河川を管理。
PAT:タイ港湾公社(Port Authority of Thailand)は舟運の
ために河川の浚渫。
TMD:タイ気象局(Thai Meteorological Department)を含め、
上記の機関はそれぞれの目的のために雨量を観測し、
河川水位を観測しています。
これらの観測データはインターネットを通じ、集計された形で
一般に公開されていますが、すべてのデータをリアルタイムで
統合するようなメカニズムは存在していません。
それぞれの機関の中でさえ、プロジェクト、整備時期、
地域の違いから異なるシステム運用されていることもあり、
全てのデータを統合することが困難でした。
そのため、関係機関や住民が防災対策を実施するのに
欠かせない貴重な水文、気象、洪水等のデータを共有する
システムが存在せず、効果的な洪水防御対策実施の障害と
なっています。
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