タイの酒類市場の規模その1、その2
タイのビール市場では2010年国別ビール『消費量』においてタイは
171万klで世界第22位。
アジアでは中国(4,468万kl・同第1位)、日本(581万kl・同第7位)、
ベトナム(244万kl・同第13位)、韓国(201万kl・同第17位)に
次いで第5位となっています。
アジアにおけるアルコール全体市場の規模は、
日本が約11兆円、中国が約19兆円、インドが約3.8兆円、韓国が約2.5兆円、
タイが約1.2兆円、フィリピンが約9000億円、ベトナムが約6500億円、
マレーシアとシンガポールが約3000億円、インドネシアが約2000億円という
状況です。
※Euromonitor 2011より引用
2015年度のタイのビール市場の規模は前年比3~4%増の成長で1800億バーツ規模に
なる見通しです。
酒造大手のシンハー・グループがコメントを出しています。
同社は”シンハーSingha”,”レオLeo”などのブランドでビール市場の72%を
握っています。
ライバル社のタイ・ビバレッジThai Beverageで24%、ハイネケンで4%の
市場シェアであるとしています。
また、タイビバレッジ社ではASEAN経済共同体(AEC)に向けて市場シェアを
10%握る目標を掲げていて、さらに2020年度までに50%まで高めていく
考えです。
特にマレーシア、シンガポール、ミャンマー、ベトナムを狙います。
タイのアルコール市場はタイ・ビバレッジ社のビアチャーンの登場で、
ビールの低価格マーケティング戦略が功を奏しビールが主流となりました。
ビール消費量は2004年で世界20位まで伸びていて、2010年度以降は
ビール以外ではワインなどに人気が出始めています。
1人当たりのアルコール消費量は1961年度で0.26リットルであったのが
2001年度には8.47リットルまで増加。
中間層の増加とアルコール認知が広がったためとされています。
このビール市場の中でもプレミアムビール、スタンダード、エコノミーと
分類され、それぞれのブランド・プレイヤーが存在します。
シンハーグループでは以下のように事例を挙げています。
プレミアム→アサヒビール、スタンダード→シンハー エコノミー→レオ
タイ・ビバレッジグループでは以下のようなブランド事例。
プレミアム→ スタンダード→チャーン エコノミー→ アーチャー
ただし、タイのアルコール市場、ビール市場の見通しはそれほど良くない
予測もあります。
理由として以下項目があげられます。
1.アルコール飲料の多様化によってビール市場は消費額が横ばい、
減少傾向が予測されている。
2.アルコール飲料に対しての規制強化が始まろうとしている。(→後述)
3.アルコールへ向けた酒税の高額化、販売ルール強化
4.健康志向の高まりと仏教団体などからの反発など
2015年9月、タイ酒類事業協会では
教育機関の半径300メートル以内での酒類販売を禁止する法案を
プラユット政権の政策委員会が承認したのを受けて、
飲食業界にとって1150億バーツ規模の損失になるとし、反発を強めています。
背景にはタイでは未成年へのアルコール類の販売は20歳以上からですが、
2015年度前半に学生が飲酒運転で死亡事故を起こすなどして
若年者の飲酒は社会問題化しました。
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