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インドネシアの市場調査をする前に担当者が抑えておきたい基礎知識

インドネシアに進出する企業のご担当者が最低限知っておきたいインドネシアの市場調査に関する基礎知識をまとめてご紹介します。

1 インドネシアの概要データ

東南アジアの10カ国で最大の人口を誇るインドネシアは2億4000万人と言う巨大な市場を抱えています。
人口は世界第4位、今後3億人以上のマーケットへ成長する見込みです。

また、石油や天然ガス、石炭に代表される豊富な天然資源と巨大人口を背景とした民間消費に支えられ、GDP成長率も2005年から平均して高成長を続けています。近年は経済成長に伴う中間層の増加、経済規模の拡大が続いています。

国名

インドネシア共和国 Republik Indonesia(インドネシア語)Republic of Indonesia(英語)は東南アジア南部に位置する共和制国家です。同国の首都はジャワ島に位置するジャカルタ。5,110kmと東西に非常に長い国土で世界最多の島嶼を抱える国です。赤道にまたがる1万3,466もの大小の島により構成されています。

また同国は陸上の国境線で東ティモールのティモール島、マレーシアのカリマンタン島、パプアニューギニアのニューギニア島の3国です。一方、海上を隔てて近接している国は、パラオ、インド、フィリピン、シンガポール、オーストラリアとなっています。

面積

1,910,931平方キロメートル(2013年 日本の5.1倍)

人口

2億4,882万人(2013年:中央統計局)

首都

ジャカルタ 人口997万人(2013年:中央統計局)

言語

インドネシア語

宗教

イスラム教、ヒンドゥー教、キリスト教

となっています。

2 インドネシアの民族構成とGDP

インドネシアはイスラム教を中心とした国家で民族は大半がマレー系(ジャワ、スンダ等27種族に大別)総人口の約6割が、全国土面積の約7%に過ぎないジャワ島に集中しています。

言語   インドネシア語      (ジャカルタでは英語が通じる)
宗教   イスラム教88.6%、キリスト教8.9%、 ヒンズー教1.7%、仏教0.6%
(インドネシア中央統計局統計)

経済成長率は経済好調を背景にして
実質GDP成長率は2011年+6.5%、2012年+6.3% 2013年+5.8%の成長率
名目GDP総額は2011年 8459億USドル、2012年8767億USドル、2013年 8683億USドル
一人あたりのGDPは 2011年 3,508USドル、2012年 3,591USドル、2013年 3,510USドル
となっています。※IMF統計データ2013年

インドネシアの1人あたりGDPは2002年は928ドルで2008年では2239ドルと成長を続けています。特に国内内需&中間層が成長しています。
一人当たりのGDPも2008年度に2000ドルを突破しています。
これはベトナム(1042ドル)より高く、タイ(4108ドル)よりも低い数字になっています。
その後2011年度には3000ドルを突破しています。

総名目GDPの金額(ドルベース)では
3645億ドル  (2006年)  5102億ドル (2008年)
8767億ドル  (2012年)と、大きく上昇しています。
ちなみにタイのGDP総額2724億ドル(2008年)
ベトナムは906億ドル(2008年) シンガポールは1933億ドル(2008年)
インドネシアはアセアン最大規模を誇ります。

3 インドネシアの政治

インドネシアの政体は、共和制(大統領責任内閣)となっていて、2009年10月~2014年10月まで2期を務めたスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領Susilo Bambang Yudhoyono氏が率いていました。同氏は2004年、史上初めての国民による大統領直接選挙で大統領に選出された元首で2009年も大統領に再選されていました。

2014年 インドネシアの総選挙・大統領選挙インドネシアで7月9日に大統領選挙が実施されました。
7月22日インドネシアにて大統領選挙結果が正式に発表され、今後 ジョコ・ウィドト氏の政策として、インフラ整備のための金融機関設立やインドネシア国内の外資規制強化、農業自給率の向上、資源に関しての輸出規制の継続などを進める見通しです。

インドネシア大統領選でジョコ・ウィドド・ジャカルタ特別州知事が当選したとの選挙管理委員会発表を受けてインドネシア証券取引所(IDX)の外国人投資家は買い越しで株価指数も上昇しました。

4 インドネシアの魅力と懸念

インドネシアの魅力には

  1. 人口大国 2億4000万人のインドネシア人(イスラム圏国家)
  2. 天然ガスやスズなど天然資源が豊富にあること
  3. これから中間層の激増が始まること 内需の拡大
  4. 地理的な条件で国境紛争などが少ない
  5. 日本や海外からの資金援助、融資が活発化
  6. インドネシア国内のインフラ開発が今後活発化する「インドネシア経済回廊」

などの好材料が列挙されます。

またインドネシアの懸念材料では

  • 政情不安&イスラム過激派のテロ事件
  • 失業率の高さ
  • 多民族国家からの混乱
  • 東ティモール問題&アチェ独立問題
  • 汚職や賄賂による搾取
  • 華僑がインドネシア資産の多くを牛耳る
  • インフラ開発の遅延と渋滞問題
  • 自然災害・地震と津波の影響
  • 焼畑農業によるヘイズ問題

などがあります。

ただし政治・治安面では第2期ユドヨノ政権が 安定してきていて、経済データ、 失業率なども安定してきていて、プラス材料が増えてきています。

5 インドネシアの財閥

インドネシアの財閥には不動産、金融、農園などの他に以下のようなものがあります。
インドネシア 華僑系を中心にして6財閥と言うのもあり、サリム・グループ(金融・食品) アストラ・グループ(自動車関連など)シナル・マス・グループ(紙・パルプ・パーム油)バリトー・パシフィック(合板、木材)  リッポー・グループ(不動産開発)グダン・ガラム・グループ(タバコ関連) が有名です。

インドネシアには、財閥形態の企業、コングロマリット(多国籍企業)の形態でおよそ30の巨大企業グループが存在します。その中でインドネシアの地元企業グループは僅か6社。
以下に並べるのはインドネシア華僑の大財閥上位コングロマリットとなっています。

【サリム・グループ】

バンク・セントラルアジアBBCA(元サリムグループ)
インドランプンシュガーインダストリ(農園)
インド・モービル(自動車)
インドセメントグループ(建設資材)
チトラ・マルガ・ウサハラ・ペルサダ(高速道路)
ボガサリ・フラワーミル(小麦粉)
インドフードスクセス(INDF)即席めん
ファースト・パシフィックグループ(香港投資会社)

【シナル・マス・グループ】

アジアンパルプ・ペーパー(製紙・パルプ)が旗艦企業。
シナルマス・マルチアータ(SMMA) ファイナンスビジネス
SMART Tbk (SMAR)         農業ビジネス
アジアフード・プロパティズ.(AFP) 食品ビジネス

【アストラ・グループ】

ユナイテッド・トラクター(UNTR) コマツ・重機を扱う
アストラ・アグロ・レスタリ(AALI) 農園
アストラ・インターナショナル(ASII)  自動車
ミトラ・コープパシィフィックヌサンタラ 大型小売

【バリト・パシフィック・グループ】

バリト・パシフィック(BRPT) 合板・木材ビジネス
チャンドラ・アスリ     石油化学(ナフサ)
トリポリタ・インドネシア(TPIA) ポリプロピレン

【リッポー・グループ】

リッポーカラワチ(LPKR)     不動産開発
リッポーシトラン (LPCK)      不動産開発

【グダン・ガラム・グループ】

グダン・ガラム(GGRM)      タバコ販売

6 インドネシアの歴史

インドネシアでのイスラム王朝の勃興が進むのは13世紀末以降であり、ドゥマク王国 (1475–1518)は16世紀前半にマジャパヒト王国を倒して、ジャワ島で最初のイスラム国家となっています。その他にもスマトラ島ではアチェ王国 (1496–1903)がイスラム化していて海域内での交易を盛んにしていました。

ヨーロッパ植民地主義時代に入るとオランダ東インド会社 (1602–1800)がジャワ島へ進出。1619年にはバンテン王国首都をジャカルタ→バタビアへ改名しています。その後はオランダ東インド会社が解散されてオランダ本国による植民地直接統治が開始。オランダ領東インド (1800–1942)その後は日本軍が進駐し 日本軍政下 (1942–1945)となります。

インドネシアの歴史は1945年以降では
1945年 インドネシア独立宣言
1967年 スカルノ、大統領の権限をスハルトに移譲
1968年 スハルト大統領就任(第2代大統領)
1998年 ハビビ大統領就任(第3代大統領)
1999年 ワヒッド大統領就任(第4代大統領)
2001年 メガワティ大統領就任(第5代大統領)
2004年 ユドヨノ大統領就任(第6代大統領) 2009年ユドヨノ大統領の再選
ここ近年の流れ
2009年10月、ユドヨノ大統領は第2期政権の閣僚名簿を発表。
2009年10月、正副大統領の就任宣誓式が国民協議会で行われ2014年までの5年間の任期が始まった。
2009年7月 総選挙委員会が大統領選挙の最終結果を発表。

インドネシアの治安情勢には
2002年10月  バリ島で爆弾テロ事件が発生(死者202名、負傷者300名以上。邦人2名が死亡)
2003年8月   ジャカルタのマリオットホテルでジェマイスラミアによる犯行と見られる爆弾テロ事件が発生(死者12名、負傷者約150名)。
2004年9月   ジャカルタの中心部在インドネシア豪州大使館前にて大規模な爆弾テロ事件が発生(死者11名、負傷者約180名)。
2005年10月  バリ島クタ地区及びジンバラン地区において複数回の連続爆弾テロ事件が発生(死者23名、負傷者約140名)。
2009年7月  ジャカルタ中心部のJWマリオット、リッツカールトンホテルで同時爆弾テロ事件が発生(死者9名、負傷者約50名)。

高級ホテル、高級デパートではすべてにおいてセキュリティチェックが。タクシーの乗車している人間の確認(ドアを開いて)、金属探知器、
かばんの中身と身体チェックが行われていました。普段の街中では恐ろしさは全く感じなかったが大規模なテロ事件としては4年ぶりに起きた事件として大きく取り上げられていました。
今回の事件では犠牲者でスイスのホルシム PT Holcim Indonesia Tbkの社長
PT Thiess Contractor Indonesiaのマネージャーなども。負傷者にも多くの企業トップが参加していました。

7 インドネシアの貿易品目

同国の2012年度輸出品目上位は
石油・天然ガス 369億ドル(3.6兆円規模)
鉱物性燃料   264億ドル(2.6兆円規模)
動植物性油脂  213億ドル(2兆円規模)
電気機器     107億ドル(1兆円規模)
ゴム・ゴム製品  101億ドル(1兆円規模) です。

同国の2012年度輸入品目上位は
石油製品     286億ドル(2.8兆円規模)
機械・部品    284億ドル(2.8兆円)
電気機器・部品 189億ドル(1.9兆円)  です。

8 インドネシアの3つの大きな特徴

東南アジアの一角を占めるインドネシアでは3つの大きな特徴があります。

【1】 アセアンの最大人口国

【2】 天然資源とその政策

【3】 「インドネシア経済開発加速・拡大マスタープラン 2011~2025 年」

【1】 アセアンの最大人口国

インドネシアの人口は2億4,882万人(2013年、出所:インドネシア中央統計局)となっていて、ジャワ島には人口が1億3,656万人 国土面積の7%に総人口の約60%が集中、人口密度は日本全国の約3倍になります。
第2位のスマトラ島では人口:5,061万人で国土面積の25%を占めています。

今後も人口は着実に増加してゆく傾向にあり、2050年の推計人口は約3億人になると予測されています。

この巨大な人口の中で、インドネシアの中間・富裕層人口は2020年には1億4100万人に。中間・富裕層が居住する都市も広がりを見せるとボストン・コンサルティンググループでは2013年に発表しています。

この多様性のある民族と言語が存在する中で、インドネシアでは「建国5原則:パンチャシラ」を掲げ、
①唯一神への信仰  ②人道主義 ③民族主義
④民主主義 ⑤社会的公平  1,128の民族集団、745の言語をまとめています。

また約2.1億人という世界最大のムスリム国家でありながら、イスラム教は国教ではなく、「唯一神への信仰」を第一原則としています。

【2】 天然資源とその政策

鉱業資源にも恵まれ、金、スズ、石油、石炭、天然ガス、銅、ニッケルの採掘量が多く、関連産業も多数生まれています。

2013年エネルギー鉱物資源省の発表として2013年の石炭生産量は4億2,100万トンに達し、2012年の3億8,600万トンに比べて9.1%増と伝えています。石油に関しては94.2万バレル/日の生産量、天然ガスの生産量は7.3bcf/日となっています。

またインドネシアでは新たな鉱業法となる「鉱物・石炭鉱業に関する法律」(2009年)が施行期限となっていた2014年1月、インドネシア政府は同分野における政令、大臣令を相次いで発効しました。大部分の金属鉱物には製精錬処理が義務付けられ輸出が認められていた未処理鉱石の輸出は禁止となっています。

【3】 「インドネシア経済開発加速・拡大マスタープラン2011~2025年」

Masterplan for Acceleration and Expansion of Indonesia’s Economic Development (MP3EI)目標は2025年までに名目GDPを2010年の6倍超に成る規模を目指し、世界のトップ10入り(2010年は世界第18位)を目標、一人あたりGDPは15,000ドルまで引き上げるとしています。特に開発の重点分野は、インフラ整備:電力・エネルギー開発、道路整備、鉄道整備で投資総額の50%以上が充当される予定。

総合計画の中にはインドネシアの6つの国内経済回廊に関する長期発展計画も含まれていてインドネシアの各島を結ぶ予定の6つの回廊、すなわちスマトラ、ジャワ、カリマンタン、スラウェシ、バリ-ヌサ・トゥンガラ、パプア-マルクに沿って22の主要な経済活動を発展させる事業を進めるとしています。

2014年度、インドネシア政府は経済開発迅速化・拡大マスタープラン(MP3EI)の12事業を27兆ルピア(24億米ドル)で実施することを決定しています。

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